【ヨガ・瞑想】ヨガは「動く瞑想」。肉体の動きを観察する練習

アーサナ

「瞑想」というと、座禅のように座ってじっと動かないでいるイメージですが、実は動きながらでも瞑想の練習はできます。というか、実はじっと座っているよりも、動いている方が意識を向けやすく、初心者向けとも言えます。

ヨガの八支則では、ヤマ(禁戒)、ニヤマ(勧戒)、アーサナ(ポーズ、いわゆるヨガ)、プラナヤーマ(呼吸法)、プラティヤハーラ(感覚制御)は、瞑想の準備と位置付けられています。

参考記事→ヨガのゴールとその手順

アーサナ(いわゆるヨガ)をすることで、長時間の瞑想に耐えられるだけの柔軟な体を作り、意識の向け方、肉体のコントロールの仕方を学ぶというわけです。

ということで、今日は私がヨガをするときに大切にしていることをお話ししたいと思います。

ヨガが「動く瞑想」である理由

ヨガとストレッチの違いは何だと思いますか?

いろいろあると思いますが、一番の違いは呼吸と意識にあると思います。

ヨガの練習に入る前に、だいたいのレッスンでは静かに座って呼吸を観察し、整えることから始めると思います。いきなり動き出したりしません。まずは内観。「今ここ」で起きていることに意識を向けて眺める。判断しない。普段無意識に行っている呼吸、でも、それなしには生きられないほど重要な呼吸、その「ある」感覚を感じます。自分が意識しなくても、自動的に空気を出入りさせて生かしてくれている体のメカニズム、自律神経によって、今日も「生かされている」ことに感謝します。

するとだんだん、呼吸がゆっくり、深くなり、胸式呼吸が腹式呼吸に変わってくるのがわかります。

今、体の中、呼吸に向いている意識を保ちながら、

呼吸とともに体を動かして筋肉を緩めていく、

常に意識は体の中の筋肉や関節に向ける、

体内で何が起きているのかを観察する、

どこまでいけそうか、逆にこれ以上は怪我につながるから無理など、自分の身体と対話する、

それがヨガです。

ストレッチは弾みをつけたりして力任せにぐいぐい筋肉を伸ばしたり、力が入って呼吸が止まる、もしくは浅くてもできたりするように、呼吸と筋肉の動きを常に連動させる必要がない場合もあります。頭の中で「これが終わったら何食べようかな」なんて考えていてもOK。意識と体がバラバラでつながっていない感じがします。(間違っていたらごめんなさい)

逆に言えば、いくら形はヨガのポーズをとっていても、意識が体内に向いていないで余計な考え事をしていたり、テレビを見ながら、誰かと話しながらやっていたり、呼吸をおろそかにしていたりしたら、それはヨガではなくてストレッチということです。

呼吸の練習

以前に何かで読んだのですが、瞑想上級者になると、棺桶のような箱に入り生き埋めにされても数日間生き延びられるといいます。それぐらい呼吸をしているのかしていないのか分からないほど1呼吸がゆったりと深く、箱の中のにある酸素でも持つほど酸素消費量が少ないのだそうです。

一般人である私たちにそんなことは到底無理ですが、瞑想にはこの「深くゆったりした呼吸」がポイントであることは確か。瞑想では脳(思考)の働きを止めるわけですから、酸素消費量も減るというわけです。

深くゆったりとした呼吸をするには、胸式呼吸ではなく、腹式呼吸である必要があります。そのゆったりと深い呼吸を保ちながら体を動かしていきます。特に吐く息は大事で、しっかり吐きれないと筋肉から力が抜けきれません。筋肉から力が抜けきれないと筋肉はガチガチ固いまま、柔らかくなりません。余計な力が入っているから、酸素は使うし、筋肉が本来の力を発揮できないというわけです。

意識の向け方の練習

人の心は動くものが大好きで、一カ所にとどまっていることが苦手です。まるで2歳児のようww

何か音がすればそっちに引っ張られ、何か目に入ればそっちに気がとられ、気がかりなことがあればすぐに雪崩のように思考が展開し始め止まらなくなります。

人間の心の習性が2歳児と同じなので仕方ないと言えば仕方ないのですが、そううろちょろあちこち好きに動き回られたのでは心は疲れてしまいます。瞑想はその心の動きを止めて一カ所に留めておくことを目的とします。でも、いきなり「止まって!」と言ってもそう簡単に止まってはくれないので、だったらまずは大好きな動きのあるものに引き付けて、そこにとどまってもらおうと。そのために肉体の動きを利用します。

ヨガのポーズをとるときに、体の内側に意識を向けると、いろいろな筋肉が連動して動いているのがわかります。つまりがあるところ、やたらと痛い所、引っ張られている所、左右差などに自然と意識が向けられます。そして静止して、呼吸を繰り返すことで、その筋肉が、痛みが、どう変化するのか観察します。筋肉や関節の痛みや張りが「ここだよ」と意識を向ける場所を示してくれるので、「意識を向ける」ということの感覚、「観察する」ということの感覚がだんだんつかめるようになっていきます。

ヨガのポーズも上級編になると、だいぶアクロバティックに見えるものが増えてきます。そのようなポーズで怪我をしないためには、集中力、筋力、そして筋肉や関節の持つ可動域をくまなく発揮させ、体全体でバランスをとる能力が求められます。これは自分の身体の状態をよーく知り、コントロールする力がないとできないこと。まさに意識が体の内側全体に集中して向けられている状態と言えるでしょう。

まとめ

よく勘違いされるのですが、ヨガのポーズはその形がキレイにできるようになることが目標だとか、体が柔らかくなるのが目的とか思われがちです。かくいう私もヨガを始めたころは「あのポーズができるようになりたい、そのためにはもっと体が柔らかくなくちゃ」と思っていました。しかし実はその過程、日々の練習それ自体が十分に目的だということが、だんだんわかってきました。呼吸を整えて深める、体の内側に意識を向けて体の声を聞く、呼吸と筋肉を連動させて動かす、変化に気づく、それ自体がヨガの目的だったのです。そしてそういうことを重ねていった先に、いつの間にかできるポーズが増え、柔軟性が増し、強くしなやかな体になっているのではないでしょうか。

私もレッスンでいつもそのことを生徒さんに伝えるようにしています。

「体の内側に意識を向けて観察して」と。

体が固いからダメ、とか、ポーズが他の人のようにできないから自分はダメだとか、そんなジャッジは必要ない。ヨガに良し悪しはないです。ゴールは外ではなく、「今の自分の身体を知ること、観察すること」にあるのですから。

そういった意味でも、体が固くても、お年寄りでも、ヨガは誰にでもできます。

そのことが理解できるようになると、自分はダメだと責めることもなくなりますし、1回1回の練習が本番で、楽しくて、充実するようになって、やめられなくなるのだと思います。

 

この記事がお役に立てたら嬉しいです。

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